帝塚山学院小学校

2012年 7月7日

大阪市にある「帝塚山学院小学校」に兵頭 慎校長先生をお訪ねしました。兵頭 慎校長先生は、今年4月に帝塚山学院小学校の校長に着任されたのですが、前年度までは、帝塚 山学院中学校・高等学校で美術を教えていらっしゃいました。兵頭校長先生は、小学校の美術の教諭として帝塚山学院に入られた先生で、小学校での指導経験もある先生なので、小学校のことは良くご存じです。

5月に行われました「教育関係者用の学校説明会」に参加させていただきまして、兵頭 慎校長先生のお話に出てきた「伝統が動きだす。」という文言が心に残りました。
そこで、その点をもっと知りたくて、兵頭校長先生にいろいろとお聞きしてまいりましたので、ご報告いたします。



兵頭校長
                兵頭 慎 校長先生


新制帝塚山学院小学校の「学び」について、お聞かせください。

「帝塚山学院は、大正6年(1917)自由で進取の精神に富んだ私立学校をつくって理想の教育をすすめたいと考えた教育者の熱意と、それに共鳴する地域の篤志家たちの支援とによって誕生した学院です。


建学の精神は「力の教育」。これは、「意志の力、情の力、知の力、躯幹の 力」のみなぎった人を創ることを意味しています。これこそ、現代で言うところの「全人教育」ですね。帝塚山学院は、大正時代にすでに、現代にも通じる「真 の教育」をめざしていたのです。いえ、現代に通じるどころか、いつの世にも通じる「真の教育」です。これが、帝塚山学院の魅力だと、私は思っています。更 に、教育理念として児童自ら探求する心を育む「自学主義」をも掲げています。「教育とは教えるものである。」と一般的に考えられていた大正時代において、 すでに教育 の根幹である「自学主義」に着目してしたとは驚きです。「自学主義」とは、児童の求知心を育む「探求型」教育です。
建学の精神としての「全人教育」と、教育理念としての「探求型自学主義教育」は、今日にいたるまで受け継がれている帝塚山学院の伝統です。
「自学主義」は、古くて新しい学びの形ですね。96年前の帝塚山学院創設の思想が現代に甦ったとでも言うべきでしょうね。ですから、私は「伝統が動き出す。」と申し上げたのです。
さらに、形をつなぐだけの「伝承」ではなく、「伝統」を踏まえて100年近く改革しつづけてきた帝塚山学院が、真摯な心で日々「伝統」を積み上げ続けていく姿勢も「伝統」ですね。


今年度、帝塚山学院小学校が目指す児童像は、「時代を生き抜く人間力=Tezukayama Educational Innovation」を持つ児童です。具体的には、学院教育の根幹である「自学主義」を通して育まれる
深く思考する子ども」、「何かを創りだす子ども」「コミュニケーション力のある子ども」、「自ら行動できる子ども」です。そして、目指す学習者像として、今、世界で一番優れていると言われるインターナショナル・バカロレアInternational Baccalaureate教育の10つの学習者像を取り入れることにしました。それは、IB教育が「評価する項目を明確にしている」と考えるからです。これらの児童像、学習者像を基本にして、これからの帝塚山学院小学校の教育を進めていきます。


この4月から、「探求型自学主義学習方法」を通常の授業の中で、取り入れています。
『深く思考する子ども』を育てるために、
「群読」・・・各自が読むだ けでなく、群読します。しかも、ただ読むだけではなく、表情も付けます。それは、表現する力は学力の根っことなる部分だと思うからです。文章を理解できな ければ、表情はつけられません。そうして読んでいると、教室の空気が暖まります。探求型レッスンは、この空気が暖まった状況でなければ出来ませんね。
「ノート指導」・・・書くことも重視しています。「写すノート」から、「作るノート」を目指しています。まずは、毎日書く「連絡帳」を自分に分かりやすく工夫します。スモールステップですが、この工夫が後々の学習ノートづくりにも生きてくると思います。
「あ りがとう清掃」・・・懸命に清掃する仲間に「ありがとう。」と言います。これは、仲間に心を向けていなければ言えません。初めは、「言いましょう。」だった かもしれませんが、自分を認めてもらうことで自分に自信が持てるし、また仲間を認めることができたようで、今では、自然に「ありがとう。」が口から出てく るようです。この「ありがとう清掃」の効果か、引っ込み思案だった生徒がクラスの中心的存在になったこともあるんですよ。

『何かを創りだす子ども』を育てるために、
今年度から、各クラスに1台ずつコピー機を設置して、教室の背面掲示を児童に任せました。今では、掲示面が美しい版画のようなクラスもあります。

『コミュニケーション力のある子ども』を育てるために、
ま ず、指導されたことだけでは無く、自分で考えて進むことを、小さなところから経験し始めています。手を上げるだけ、手を上げた人を当てるだけのレッスンも あります。次の人を当てる時に、何故その人を当てる気になったのかをはっきり言わなくてはいけません。自分の意見をもって、それを表現する姿勢を育ててい るのです。こんな風に、教室では学ぶ児童が主体であり、主体的に考えるということはどういうことかを、小さなこと身近な所から児童の心に定着させるように 学習をすすめています。

その他、「自ら行動できる子ども」を育てるために、自立・自律への意識を高める工夫にも努めています。


「探求型学習」は、それ自体で力を発揮するものではありません。日頃の実践や教師の立ち位置など、教師の存在そのものが影響を与えていくものであり、だからこそ、子どもたちも教師も成長していくことができる学びの形だと考えています。」

以上です。兵頭 慎校長先生、ありがとうございました。

 

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                天然芝の運動場です。

国際バカロレアの3つのプログラム

  IBの理念は全人教育にあり、以下の10つの学習者像を目指している。

Inquirers

探究する人

Knowledgeable

知識のある人

Thinkers

考える人

Communicators

コミュニケーションができる人

Principled

信念のある人

Open-minded

心を開く人

Caring

思いやりのある人

Risk-takers

挑戦する人

Balanced

バランスのとれた人

Reflective

振り返りができる人


~文部科学省のHPから~


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                  食堂です。



学校パンフレットにある兵頭 慎校長先生のお言葉の一部をご紹介いたします。

「変化の激しいこれからの社会を考えたとき、本学が見学以来一世紀近く堅持してきた、この「力の教育」と「自学学習」は色あせるどころか、「探求する力」「コミュニケートする力」「学習する力」の育成としてますます普遍性の輝きを増しています。
こ うした本学の教育理念を次代に合った具体的な教育システムとして確立するために、私たちは、授業実践を通して探求型の教育システムの研究を進めています。 今後さらに研究を進めて、普遍的な建学の精神を継承し、これからの時代を創造する人間の育成のための、帝塚山学院初等教育システムを提供したいと思います。子どもたちの未来を見据えて・・・・。」 

                      帝塚山学院小学校長  兵頭 慎


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絵画がいたるところにあって、美術館みたいでした。



こ の度、帝塚山学院小学校が取り入れようとしているIB教育は、現代教育の最先端システムだという言われています。でも、その精神は、これまで1世紀以上も帝塚山学院が教育の根幹としていた「全人教育」・「自学主義」と同じものだと思いました。

兵頭 慎先生は、「伝統が動き出す。」と、仰いました。でも、私は、時代がようやく帝塚山学院の建学の精神と教育理念に向かって、動き出したと思います。

 

これまでに、けいkids+ブログでご紹介した帝塚山学院小学校のレポートはこちらをご覧ください。

 

 

 

子どもの笑顔を守りたい。幼児教室けいkids+の心です。

 


村上重雄 入試対策部長 インタビュー 2011年9月7日

2011年 9月7日 

帝塚山学院小学校を訪ね、入試対策部長の村上重雄先生に今年度の入学試験についてのお話を伺って参りましたので、ご報告いたします。

CIMG2937     入試対策部 部長 村上重雄先生

帝塚山学院小学校では、9月4日(日)に第二回入試説明会・体験入学を開催しました。
そこで、今回は村上先生に入学試験について詳しくお話していただきました。

 



今年の入学試験は一日になりました。昨年までは二日に渡っていたものを変更いたしました。
それは、受験生と保護者の皆さまの精神的、肉体的な負担を軽減するためです。なんといっても、受験生は幼児さんで、体調を整えて受験に臨んでほしいですからね。

入学試験の内容は例年通りです。
1、ぺーパーテスト
2、個人テスト(口頭試問、運動、制作等)
3、行動観察
4、学校給食を食べる
この4分野を総合的に判断させていただきます。

面接は、親子別々に行います。保護者は入学試験前に指定された日に行います。難しいことは聞きません。志願動機、家庭での教育方針等を伺っています。これも、評価するものではなく、様子を見せていただくだけですので、緊張していただかなくて結構ですよ。
面接のポイントは、1、挨拶 2、笑顔 3、相手の目を見る 4、素直に・・・ですね。
リラックスして答えてください。

ペーパーテスト・・・ B4サイズで14・5枚程度。図形、位置、数、常識、お話の記憶等があります。文字や数字を書く必要はありませんし、テストの内容も年齢相応の生活範囲内のものを出題しています ので、特殊なお勉強は必要ありません。数も15までしか出していません。受験対策をしていらっしゃらないお子様を対象に作成したテストですし、当日のテストでも、練習問題をしてから始めますので、ご安心いただきたいと思います。

個人テストは、 1対1でいろいろな質問の受け答え、言語、作業、運動などのテストを します。挨拶やお返事がきちんとできているか、通っている幼稚園の名前が言えるか等を見せていただきます。また、公共交通機関を使って通学される方もあり ますので、公共マナーが身についているかについての質問をします。受験児が家庭とどのように関わっているか。家庭ではどのように躾をしているか、受験児の 言葉を通して家庭を見ます。作業では、はさみの使い方、返し方、ひものくくり方など手作業を見たりします。運動のところでは、跳んだり、くぐったり、リズ ム良く運動したり、ボールを投げたりします。

行動観察・・・集団での行動を見ます。昨年は、みんなでパズルをしたり紙芝居を見たりしました。譲り合ったり、気遣いをしたり、自分の行動と共に周りへの配慮も見ます。

学校給食を食べる・・・お箸の持ち方、お茶碗の持ち方、食べ方、マナーなどを見ます。残さずに食べることは大切なことですが、嫌いなものでも頑張って食べている様子が分かればよいのです。


入学試験では、どの分野についても平均した力を発揮しないと合格ラインに届きません。
帝塚山学院小学校は、偏差値や点数主義に偏らない真の知力・学力の定着とともに、 自学習の実践を目標としています。充実した学力にくわえ、伝統ある数々の行事の活動を通し、人間として生きる力を育てていきます。

 


 

村上 重雄先生、ありがとうございました。

「面接のポイント」は、保護者にとって参考になると思います。笑顔で素直にですね。帝塚山学院さんらしいと思いました。

 

入学試験のことをお聞きした後で、先日の龍谷大学付属平安中学校・平安高等学校の安井大悟校長先生が、「私学に行くということは、魂にその私学の色を付ける ということですよ。」と仰ったことが心に残っていましたので、文田 雅夫校長先生と村上 重雄先生に「帝塚山学院の色は何色だと思いますか?と、お聞き してみました。すると、村上重雄先生は、「虹色かなぁ。」と答え、文田雅夫校長先生は少し考えられた後で、「決めた色をつけないのが帝塚山学院の色だと思いますよ。一人ひとりが自由に色を選んで良いのです。そこが、帝塚山学院のスピリットでしょうね。でも、どんな色であろうとも暖色であるということは 間違いないと思います。」と答えてくださいました。

 

魂の色を自分で選ぶ。なんて素敵な生き方でしょう。

 

帝塚山学院小学校のホームページはこちらです。

 

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